AIを使いたい気持ちはある。触ってみたいし、乗り遅れたくない。でも、いざ開いてみると「で、何をさせればいいんだろう」で手が止まる——この感覚は、私自身も何度も味わってきました。周りが便利そうに使っている話を聞くほど、自分だけ入口で立ち止まっているような気がして、落ち着かなくなります。
先に、いま思っていることを書いておきます。やりたいことが曖昧なのは能力の問題ではなくて、たいていは「AIを使う」と「何かを楽にする」の順番が入れ替わっているだけです。使うことが先に立つと、目的はいつまでも後ろにいます。順番を戻すだけで、迷子の感覚はずいぶん軽くなります。
「使いたい」が目的になると迷子になる
本来、道具は何かをしたいから手に取るものです。ところがAIについては、話題の大きさもあって「まず使えるようにならなければ」という気持ちが先に来やすい。私もそうでした。使うこと自体が目的になると、「これで何ができるか」を探し続けることになり、探せば探すほど選択肢が増えて、かえって決められなくなります。
ここで自分を責める必要はありません。曖昧なまま止まっているのは、真面目に「ちゃんと役立てたい」と思っているからこそです。適当に触って満足できる人なら、そもそも迷いません。立ち止まっているのは、手前で丁寧に考えている証拠でもあります。
順番を戻すと、やることが見えてくる
迷子から抜けるのに、大それた目標はいりません。私がやっているのは、順番を逆にするだけです。「AIで何をしよう」ではなく、「最近、面倒だと感じたことは何だったか」から入る。この向きにするだけで、対象が急に具体的になります。
一つ目のコツは、大きな目的を立てようとしないことです。「業務を効率化する」のような大きさだと、結局どこから手をつけるか分からず元の迷子に戻ります。それより「毎週の数字を手で転記していて地味に面倒」くらいの、小さくて具体的な不便のほうが扱いやすいです。
二つ目は、その不便を一つだけ選ぶことです。いくつも思いついても、まずは一番小さいものを一つ。小さいと結果がすぐ分かるので、合っていたか外れていたかを自分で判断できます。そこで初めて「これはAIに向いていそうだ」「これは手でやったほうが早い」といった感覚が育ちます。使う前には見えなかったことが、一つ試すと見えてきます。
「何をどうしたいか」は後からでいい
正直に言うと、私も最初から明確な目的があったわけではありません。日々の中で「これはこうなったら楽なのに」と感じたことを拾っていくうちに、後からそれが目的の形になっていった、という順番でした。だから、いま「やりたいことが曖昧だ」と感じていても、それは出発点として何もおかしくありません。曖昧なのが普通で、具体的な困りごとを一つ拾うたびに輪郭がはっきりしていきます。
もう一つ、そのうち効いてくることを添えておきます。仕組みを少しずつ知っていくと、「これはAIに任せられそうか」の見当がつきやすくなります。裏でどんな処理をしているのか、自分のデータがどこにあるのか。全部を理解する必要はありませんが、必要になった順に分かる範囲が増えるほど、迷う時間は短くなります。焦って全体を勉強するというより、目の前の一つに合わせて少しずつで十分です。
まとめ
「AIを使いたい」のに何をすればいいか分からないのは、能力の問題ではなく順番の問題であることが多いです。使うことを先に置くと目的は後ろに残り、迷子になります。大きな目標を立てる代わりに、最近面倒だった小さな不便を一つ拾い、それに合いそうか試してみる。やりたいことは探すものではなく、日々の中から後から形になっていくものです。曖昧なままでいい。その状態から一つ拾うところが、いちばん確かな出発点になります。
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