本を読んでも、講座を受けても、いざ自分の仕事になると使えない。学んだそばから抜けていく気がして、勉強が向いていないのかもしれないと感じている。そういう方は少なくないと思います。私自身、同じことを何度も感じてきました。

先に思っていることを書いておきます。身につかないのは、覚える力の問題というより、学ぶ順番の問題であることが多いです。「解きたいこと」が手元にある状態で学ぶと、同じ内容でも残り方がまるで違う、という実感があります。

「インプットしたのに使えない」がなぜ起きるか

正直に書くと、私は買ったまま最初の数ページで止まっている本がいくつもあります。受けたきり内容を思い出せない講座もあります。おそらく、これを読んでいる方にも似た心当たりがあるのではないかと思います。

ここでよくあるのが、「知識が足りないからまず勉強しよう」と考えて、実務と切り離したまま入力だけを増やしていくパターンです。ところが、使う場面がないまま覚えたことは、置き場所がなくて抜けていきます。逆に、目の前の仕事で「これをどうにかしたい」と思っている時に読んだ一節は、不思議とよく残ります。困っている実感が、知識の引っかかりを作ってくれるからだと感じています。

🙋
まず基礎を一通り勉強してから、と思うのですが、いつまでも実務に進めません。
FW
順番を逆にして大丈夫だと思います。小さな実務を一つ持ってから、必要になった箇所だけ調べる形です。

「使う予定のある分」だけ先に学ぶ

学びが実務に変わりやすいのは、input と output の距離が近いときです。全体を体系立てて勉強してから使う、という進め方は理想的に見えますが、実際には使う日が遠すぎて忘れてしまいます。

私がやってきたのは、その逆でした。たとえば「今週このレポートを作らないといけない」という具体的な用事があって、そのために必要な操作や考え方だけを、その都度調べる。範囲は狭いですが、使いながら覚えるので残ります。狭く始めて、必要になったらまた少し広げる。この繰り返しのほうが、分厚い教材を最初から通読するより、結果的に身についてきた気がします。

ポイント:「勉強してから実務」ではなく「小さな実務のために調べる」。使う予定があるほど、学びは残りやすくなります。

それでも基礎は、少しずつ効いてくる

ここまで書くと「基礎の勉強は要らない」という話に聞こえるかもしれませんが、そうではありません。実務をこなすうちに、同じところで何度もつまずくことがあります。そのときに一段深く仕組みを知っておくと、次から迷いが減ります。基礎は、最初にまとめて詰め込むものというより、必要になった順に少しずつ埋めていくものだと感じています。

これは「基礎も知らないのか」という説教ではありません。私も分かっていて始めたわけではなく、つまずくたびに一つずつ調べてきただけです。手を動かして、引っかかって、その箇所だけ学ぶ。地味な順番ですが、勉強した内容が実務と結びつく分、身についていく手応えがあります。

まとめ

勉強しても身につかないと感じるとき、多くの場合は覚える力が足りないのではなく、学びと実務が離れているだけだと思います。全部を先に勉強しようとせず、小さな用事を一つ持って、そのために必要な分を調べる。つまずいた箇所の基礎を、その都度少しずつ埋めていく。派手さはありませんが、この順番にすると、学んだことが手元に残りやすくなります。身につかない自分を責める前に、一度、学ぶ順番のほうを疑ってみてもいいのかもしれません。