新しいAIツールの話が流れてくるたびに、なんとなく置いていかれている気がして落ち着かない。そういう感覚を持っている方は少なくないと思います。私自身もそうでした。
先に結論めいたことを書いておきます。AIを使いこなしている人は、たいてい「AIを使いたい」から始めていません。「日々こうだったらいいのに」と考えてきたことが先にあって、それを叶える道具としてAIを手に取っている、という順番であることが多いです。だから焦って新しいツールを追いかけるより、自分の「こうしたい」を貯めていくほうが、遠回りに見えて近い場合があります。
「使いこなせない」の正体
正直に書くと、私はビジネス書を買っても、チャプター1しか読んでいない本がいくつもあります。新しいツールも、話題になったから触ってみて、そのまま放置していることがあります。おそらく、これを読んでいる方にも心当たりがあるのではないかと思います。
ここで焦りが生まれるのは、たいてい「みんなは使いこなしているのに、自分だけ取り残されている」という比較からです。ただ、その「みんな」の中身をよく見てみると、全員が全部のツールを使いこなしているわけではありません。多くの人は、自分の仕事で必要になった一部だけを、必要な分だけ使っています。
「AIを使いたい」より「何をどうしたいか」が先
ツールを追いかけると疲れるのは、目的と手段が入れ替わっているからだと感じています。「AIを使いたい」が先に立つと、どのツールも中途半端に触っては次に移り、手応えが残りません。
逆に、うまく道具にしている人を見ていると、出発点が具体的です。「毎週このレポートを作るのが面倒だ」「この転記作業をなくしたい」といった、日々の仕事の中で溜めてきた「こうだったらいいのに」が先にある。その一つを解くためにAIを使うので、覚えることも自然と必要な範囲に絞られます。
だから、もし今「何から手をつければいいか分からない」と感じているなら、ツールの一覧を眺めるより、自分の仕事で面倒だと思っている場面をメモしておくほうが役に立ちます。派手ではありませんが、そのメモが後で効いてきます。
基礎を少しずつ知ると、道具はもっと手に馴染む
もう一つ、正直に思っていることがあります。「AIがあるからもう勉強しなくていい」という話をときどき見かけますが、実際にはその逆に近いと感じています。仕組みを少し知っているほど、AIに任せられる範囲も、任せてはいけない範囲も見えてきます。
とはいえ、これは「基礎を全部やってから始めなさい」という説教ではありません。私も最初から分かっていたわけではなく、必要に迫られて少しずつ調べてきただけです。コードがなぜ動くのか、サーバーやドメインとは何か、データはどこに置かれているのか。こうしたことは、一度に理解しなくても、手を動かしながら少しずつで構いません。分かる範囲が広がるたびに、同じAIでもできることが増えていく、という感覚に近いです。
まとめ
新しいツールに追い立てられる感覚は、多くの人が持っています。ただ、使いこなしている人も、最初から器用だったわけではなく、自分の「こうしたい」を出発点に、必要な分だけ手を動かしてきた場合がほとんどです。焦って全部を追うより、日々の面倒ごとを一つメモすること、そして仕組みを少しずつ知っていくこと。この二つのほうが、遠回りに見えて手応えが残りやすいと感じています。置いていかれている気がしても、たぶん急ぐ必要はありません。
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