制作会社からデザイン案が上がってきたとき、「良い気はするけれど、何を基準にOKと言えばいいのか分からない」と迷うことがあります。かっこいい・好き、という感覚だけで判断すると、後から「思っていたのと違った」となりやすい場面です。デザインの良し悪しには、好みとは別に、発注側でも確認できる観点がいくつかあります。

ポイント:結論として、デザインは「好きかどうか」より「目的に合っているか」で見ると判断しやすくなります。まず目的を軸に置き、好みはその後で切り分けて考えます。

まず「目的に合っているか」から見る

デザインを見るとき、つい見た目の印象から入りがちですが、最初に確認したいのは「このサイトで一番してほしいことに向かっているか」です。問い合わせを増やしたいのか、会社の雰囲気を伝えたいのか、採用に使いたいのか。目的によって、目立たせるべき場所も、載せる情報の順番も変わります。目的が定まっていれば、「この案はその目的に沿っているか」という物差しで見られるようになります。逆に、目的が曖昧なまま見た目だけで選ぶと、判断がぶれやすくなります。

発注側でも見られるポイント

1. 一番伝えたいことが、ぱっと目に入るか

ページを開いた瞬間に、何の会社で・何をしてくれるのかが伝わるかを見ます。読み込まないと分からない、どこを見ればいいか迷う、という状態だと、情報の優先順位が整理しきれていない可能性があります。自分がその会社を知らない読者になったつもりで、最初の数秒で何が目に入るかを確認すると分かりやすくなります。

2. 情報の順番に無理がないか

読者が知りたい順に情報が並んでいるかも、良し悪しを分けるところです。サービスの中身を知る前にいきなり申し込みボタンが出てくる、料金を知りたいのに見つからない、といった流れは、読む側の気持ちと噛み合っていません。上から下へ読んでいって、疑問が自然に解消されていくかをたどってみると、順番の無理に気づけます。

3. 読みやすさ・余白が確保されているか

文字が詰まりすぎていないか、行間や余白にゆとりがあるか、といった点も印象を大きく左右します。情報を詰め込むほど親切に見えますが、実際には余白があるほうが読みやすく、内容も伝わりやすくなります。スマートフォンで見たときに窮屈でないかも、あわせて確認しておきたいところです。

4. 全体でトーンが揃っているか

ページ単体では良く見えても、複数ページを並べると色使いや文字の雰囲気がばらついている、ということがあります。会社の印象は、こうした全体の統一感からつくられます。1枚ずつではなく、サイト全体を通して同じ空気感になっているかという視点で見ておくと、ちぐはぐさに気づきやすくなります。

5. 想定している読者に合っているか

おしゃれで洗練されたデザインが、必ずしも自社の読者に合うとは限りません。落ち着いた層に向けるのか、若い世代に向けるのか、専門家に向けるのかで、ふさわしい見た目は変わります。「自分の好み」ではなく「来てほしい人にとって親しみやすいか」で見ると、判断の軸がぶれにくくなります。

🙋
正直、自分の好みと良し悪しの区別がつきません。どう伝えればいいでしょうか。
FW
「好き・嫌い」と「目的に合う・合わない」を分けて伝えると整理しやすくなります。好みは好みとして共有しつつ、判断の主軸は目的に置くとすれ違いが減ります。

好みと判断を切り分けるコツ

とはいえ、好みをまったく無視する必要はありません。大事なのは、好みと判断を混ぜないことです。「この色は好きではない」という感想と、「この配色だと大事なボタンが埋もれて見える」という指摘は、性質が違います。前者は伝え方に配慮が要る好みの話、後者は目的に照らした判断です。フィードバックを返すときも、この二つを分けて伝えると、制作側も対応しやすくなります。

また、良し悪しに迷ったときは、制作側に「なぜこの配置・この色にしたのか」を聞いてみるのも有効です。理由を持って設計されているデザインは、説明を聞くと納得できることが多く、逆に説明が曖昧な場合は、そこを詰め直す余地があるということでもあります。

まとめ

デザインの良し悪しは、感覚だけで決めようとすると迷いやすいものですが、目的に合っているかを軸に置くと、発注側でも見られるポイントが見えてきます。一番伝えたいことがぱっと入るか、情報の順番に無理がないか、読みやすさや全体の統一感が保たれているか、想定読者に合っているか——この観点を持っておくだけで、判断の軸がぶれにくくなります。

好みは好みとして大切にしつつ、判断の主軸は目的に戻す。この切り分けができると、制作側とのやり取りもかみ合いやすくなり、納得のいく仕上がりに近づけやすくなります。