「AIで業務が丸ごと自動化できます」といった話を見かけて、便利そうだと思う一方で、どこか引っかかる。その両方の気持ちを同時に持っている方は少なくないと思います。私自身も、うまい話を見ると一度は心が動きますし、そのあとで「本当かな」と立ち止まります。
先に、私がいつも確かめていることを書いておきます。怪しいかどうかは、たいてい「何ができるか」ではなく「何を省いているか」に出ます。できることを大きく語る一方で、前提や手間、うまくいかない場合の話がすっぽり抜けている——そこに引っかかりを感じたら、いったん保留にしておくくらいでちょうどいいと感じています。
「怪しい」と感じるのは、たぶん正しい
最初にお伝えしたいのは、その違和感はあまり無視しないほうがいい、ということです。特定の商品を名指しするつもりはありませんが、過大な謳い文句ほど、聞いた瞬間の「うまくいきすぎでは」という感覚が当たっていることが多いように思います。
焦りが混じると、この違和感を打ち消したくなります。「みんな使い始めているらしい」「乗り遅れたくない」という気持ちが、確かめる手前で判断を急がせるからです。ただ、急いで飛びついて後悔するより、少し立ち止まって確かめるほうが、結果的に損が小さいことがほとんどです。
落ち着いて確かめたい、いくつかの点
難しい知識がなくても確かめられる範囲で、私が見ている点をいくつか挙げてみます。
一つ目は、前提や手間を正直に話しているかです。どんな仕組みでも、最初のデータ整備や設定、うまくいかないときの調整は必要になります。そこに触れず「置くだけ」「全自動」だけが前面に出ているときは、少し慎重になります。
二つ目は、中で何をしているかを説明できるかです。細かい技術の話までは分からなくても、「どういう流れで動くのか」をかみ砕いて説明してもらえるかどうかは、判断材料になります。聞いても要領を得ない、あるいは「難しいので任せてください」で終わるなら、後々ブラックボックスになりやすいと感じています。
三つ目は、急かしてくるかどうかです。「今だけ」「すぐ決めないと」と決断を急がせる空気があるときほど、いったん時間を置いて考える価値があります。本当に役立つものなら、少し待っても価値は変わらないはずです。
結局は「何をどうしたいか」に戻る
見分け方をいくつか挙げましたが、いちばんの土台は、自分の側に「これをこうしたい」がはっきりあることだと感じています。解きたいことが具体的にあると、「その謳い文句は自分の困りごとに本当に効くのか」で冷静に測れます。逆に「とにかくAIで何か自動化したい」という状態だと、大きな話ほど魅力的に見えて、確かめる基準を持てません。
もう一つ、正直に思っていることがあります。仕組みを少しずつでも知っていくほど、こうした見極めは自然と楽になります。何がなぜ動くのか、データはどこにあるのか。そういう基礎が分かる範囲で増えるほど、「この話のどこが省かれているか」に気づきやすくなるからです。最初から全部を知る必要はなく、必要になった順に、手を動かしながらで構わないと思っています。
まとめ
「怪しい」と感じたその違和感は、多くの場合あなどらないほうがいいものです。できることの大きさより、前提や手間、うまくいかない場合まで正直に話しているか、そして決断を急かしてこないか。この辺りを落ち着いて確かめれば、細かい技術知識がなくてもかなりの部分は見えてきます。そして最後は、自分の「これをこうしたい」に立ち返ること。急いで飛びつかなくても、良いものなら少し待っても価値は変わりません。
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