仕事をしていると、一日に何度か「これ、こうだったらいいのに」と思う瞬間があります。毎回同じ数字を手で転記していて面倒だとか、あの資料がすぐ出てこないとか。多くはその場で少しだけ引っかかって、忙しさの中でそのまま流れていきます。私自身も、あとから「そういえば前も同じことを思ったな」と気づくことが何度もありました。
先に思っていることを書いておきます。「こうだったらいいのに」という一言は、業務改善やAI活用のいちばん手前にある材料で、これを流さずに残しておけるかどうかが、あとで大きな差になります。立派な改善案を考えようとする必要はなくて、感じた不便をそのまま書き留めておくだけで十分だと感じています。
アイデアは「思いつく」より「溜まる」もの
改善のアイデアというと、机に向かって腕を組んで捻り出すもの、というイメージがあるかもしれません。でも実際は、その場で感じた小さな引っかかりが積み重なって、あるとき「これはまとめて直せそうだ」という形になることのほうが多いように思います。
逆に言うと、その場の引っかかりを毎回忘れてしまうと、いつまでも「なんとなく不便なまま」が続きます。一つひとつは小さくても、書き留めておけば後から見返せます。同じ不満が三回並んでいたら、それはもう立派に「手をつける価値のある課題」です。思いつく才能より、感じたことを流さずに残す習慣のほうが、結局は効いてくると感じています。
気負わず残すための、ゆるいやり方
難しい仕組みは要りません。私がやっていて続いている、ゆるいやり方をいくつか挙げてみます。
一つ目は、置き場所を一つに決めることです。スマホのメモでも、手帳の1ページでも、何でも構いません。大事なのは「思いついたらここに書く」と場所を固定することです。あちこちに散らばると、見返さなくなって結局忘れます。
二つ目は、きれいに書こうとしないことです。「◯◯の転記、面倒」の一行で十分です。誰かに見せる資料ではないので、単語だけでも構いません。書くハードルを上げると、忙しい日には続きません。
三つ目は、ときどき見返す時間をつくることです。週末に数分でも、溜まったメモを眺めてみる。すると、繰り返し出てくる不便や、意外とすぐ直せそうなものが見えてきます。書いて終わりにせず、たまに棚卸しするだけで、メモは「愚痴の記録」から「改善の候補リスト」に変わります。
この蓄積が、道具選びの土台になる
最近はAIのツールがたくさん出ていて、「何かに使えそう」と焦る気持ちも分かります。ただ、私自身の実感としては、順番が逆になると迷子になりやすいです。ツールを先に手に取って「これで何ができるだろう」と探すより、「こうしたい」が先に溜まっていて、それに合う道具を後から選ぶ。この向きのほうが、道具が自分の役に立っているかを自分の基準で判断できます。
「こうだったらいいのに」のメモは、まさにその「こうしたい」の在庫です。日々の中で感じた不便がいくつも書いてあれば、新しい道具を見たときに「これはあの不便に効きそうだ」と結びつけられます。逆に在庫がないと、便利そうな機能を前にしても、自分の仕事のどこに効くのかが結局ぼんやりしたままになりがちです。難しい知識より先に、この蓄積があるかどうかが土台になると感じています。
まとめ
「こうだったらいいのに」は、その場で流してしまえば消えてしまう一言ですが、残しておけば改善の材料になります。置き場所を一つに決めて、きれいに書こうとせず、ときどき見返す。それだけで、日々の小さな引っかかりが「手をつける候補」に変わっていきます。そしてこの蓄積は、いざ何かの道具を選ぶときの、いちばん確かな土台になります。まずは今日感じた「こうだったらいいのに」を、一行だけ書き留めてみるところからで十分だと思います。
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